美濃焼サミット第一回、パネルディスカッションにお呼びいただきました。
かもしか道具店を立ち上げた山口さん、TOKONAMEを立ち上げた鯉江さんと私。
びっくりするほど濃いメンバーであります。笑
参加者は美濃焼に関わるメーカー、材料メーカー、商社、作家、デザイナーそして行政の方など。
美濃焼に関わると一口で言っても、多治見市・土岐市などを主たる産地としてさまざまな立ち位置、規模、スタイルで向き合う方々。
焼き物産地と言ってもエリアによって、全然事情が違う。
どれだけリサーチしても、現地に行かなくてはわからないことだらけです。
今回は本当様々な学びをいただきました。
他のパネリストがもう、その道まっしぐらな男気溢れる方なので
私は別の角度から【How to Build a Brand】と題して、
ブランドはどのように作られるのか?
そもそもなぜブランディングが必要なのか?
ブランディングはすべての人に関わる重要なこと。
これらを、ブランド立ち上げの背景から商品企画、
プロモーションや売り場展開までお伝えしました。
ブランディングで重要なのは、実は立ち上げた後。
お客さんとの接点が増える運営面こそ一番大切です。
そして、今回はパネルディスカッションの後
意見交換の時間がたっぷりありました。
特にto Bでお仕事をされている方、
ブランディングなんて必要ないと思ってたりする場合が多い。
でも、陶磁器産業のほとんどは町ぐるみの分業で成り立っている。
みんなで自分たちの価値を高めないとやっていけない、非常に難しい産業。
だから、全員で自分たちの関わる商品の価値を高めなくては。
写真:中日新聞 12月18日
みんなで価値を下げるスパイラル
昔からの条件反射のようにメーカーが「100円です」と言ったら
商社は「90円にしてよ」と、挨拶代わりに言う。
薄利多売で成り立っていた量産の時代は終わり、しわ寄せはメーカーに。
そうすると今度はメーカーが材料を仕入れる先へ値下げを求める。
そう、しわ寄せはどんどん下支えをしてくれている人にのしかかる。
商売としてやっていけないと、材料メーカーは減っていき、
材料メーカーから商品を仕入れるの商社は海外のものを主に扱うようになる。
また価格競争になる。
商品が溢れ、大量購入の時代が終わり、輸入商品も増えた現代。
そんな中で、産地は全体としてどう戦うかを考えなければならないのに、
お客さんに近いパートつまり小売店から始まり、
商社、メーカー、材料メーカー全員で
値下げしてちょっとずつ蛇口を絞っているようなもの。
考えれば考えるほど苦しくなるのです。
中には勿論そうじゃない人もいますが、全員がそう思わないと流れが滞っちゃう。
関わる人全てがブランディングの意識を持つ必要がある
という意味はここにあります。
意見すると、現状を知らないくせにと言われることもある。
(言わなくても顔に書いてある場合が多い。笑)
どれだけ現地に足を運んでも、結局私はよそ者。
けれど、日本中の産地をめぐり、ジャンルを問わず様々な業界の方と
お仕事している私だからこそ、見えていることがあると思うのです。
ブランドプロデューサーとマーケッターを両方名乗る背景はここです。
よそ者、次世代の活用でチャンスを掴む、広げる人達
私が伝えられることは、マーケティング目線で捉える
世の中移り変わりを伝えること。
ブランドプロデューサーとして
あらゆるポイントで商品の価値を高めることのお手伝い。
個々を非難しているわけではなく、組織が、システムが悪いだけのこと。
だったら、自分たちで変えていけばいいだけです。
けれど変えていく前に重要なのが、まず、現状把握。
最近よく、「陶土が無くなる」「あと5年らしい」「あと10年らしい」
なんて話を聞くが、行政の人に伺ったところ土は全然余裕であると…
「実情は、土を扱う人がいなくなるだけ。」
「価格競争のしわ寄せで、材料メーカーが商売として成り立たないから。」
もう、情報がしっちゃかめっちゃかです。
それは、もしかしたら「土が無くなるよ」と言わなきゃ
値上げできない状況があるのかもしれない。
本当の理由も状況も把握できないけれど、誰に聞いても答えが違うので
「答えは誰も持ってない。現状の把握ができていない。」
私はこれが一番怖いことだと思います。
現状が把握できていない=正しい戦略が立てられないということです。
とりあえずブランド作っちゃうのは危険
今、物を売るって本当に大変。
店舗作って、新規事業でブランド作って、お店の管理していたからよくわかります。
30歳なので、物心ついた時からずっと「不況」。
バブルとか昔のこととか、はっきり言ってわからないです。
だから、希望的観測はほとんどないんです。
ダイナミックさに欠けるな、と思ったりもするのですが
今ちゃんと成功している人は地道にやってきている人ばかり。
ニュースでよく見る炎上企業は、やっぱりよくわからないまま突っ走ったり
早く成長したいとか、不安のあまり判断を見誤ったところばかりですよね。
ネットの普及で悪事が千里を走るのが一瞬になりました。
中長期的に考えて何がいいかは明白。
消費者も情報があっと今に手に入るから、墜落も一瞬だと考えています。
そんな私は会社員の間は「一番の会社」に入ると決めていました。
人も情報もお金も集まりやすいからです。
学ぶなら一番からじゃないと意味がない。
一番大きい、一番有名、一番資金力がある会社でも
物を売ることが難しいのは経験から痛感しています。
反対に、それがなくても勝てる事も学べました。
やっぱり、どんな人がいるか?に限るのだと。
今、変えないと未来がない。
そんな危機感を持ち、けれども悲観的ではない
素晴らしい20〜40代の方がたくさんいる美濃焼の産地。
今回は講演だけだったので、あぁもどかしいと思いながらも、
外からの風として何かしらのお役に立ててたなら幸いです。
いつもお世話になっている三宅先生の宿題も無事ヒアリングできて、ほっ。
伝統産業と新しい技術の融合についても、もう少し考えていきたいな。
ご近所の産地、常滑へ
そして翌日。
やっぱり現場主義なので、まだじっくり行ったことのない常滑視察。
空港からも、新幹線からもアクセスが良い常滑駅。
駅から5分で雰囲気のいい観光地がある、最高のロケーション。
産地格差、っていうのは足を運んでみないとわからない。
常滑はかなり恵まれていて、めっちゃ楽しかったです。
鯉江さんのTOKONAME STORE へ。
商品、空間素晴らしいのはもちろんだけれど何より感動したのは
接客してくれた店長さん!
かもしか道具店のかもしか出張所でも思ったが、やはりお店は店長で決まる。
都会のように、人材がたくさんいる環境ではない中で
素敵な人を巻き込んで行けるのはやっぱり鯉江さん、山口さんの人柄。
チャンスを掴み続け、夢を実現できる人は
人を大切にし、真摯な姿勢と情熱を持ったかたばかりなのだなと改めて…
こそっと視察して帰ろうと思ったら、常滑駅前で鯉江さんと早速の再会w
娘さんの自転車を購入するために、カッコイイ自転車に乗るパパとして登場!
縁がある人は縁がある。
また、土岐で?菰野で?常滑で?東京で?
日本のどこかで、産地談義しましょう!なんて言い合える
最高の出会いをつないでくださったRW稲波さん、
本当にありがとうございました。